60歳以降に退職した場合の失業保険と年金

60歳以降に退職した場合、雇用保険に加入していれば失業保険を受給することができます。
ただし、老齢厚生年金の報酬比例部分を受給している場合は、失業保険と年金のどちらかを選択しなければならないので注意してください。
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定年退職した場合の失業手当の日額と給付日数

60歳以降に定年退職した場合の失業手当(基本手当)の日額は、退職前6か月間の給与の合計(ボーナスを除く)を180日で割った額の約45%~80%相当額となります。

また、定年退職した場合の基本手当の給付日数は、雇用保険加入期間により次のようになります。

雇用保険加入期間

  • 10年未満 ・・・・・・・90日
  • 10年以上20年未満 ・・・120日
  • 20年以上・・・・・・・150日

年金と失業保険・どちらかを選ぶ

65歳までの継続雇用が企業に義務付けられたものの、何らかの理由で60歳から65歳の間に退職する場合もあります。そんなとき、注意しなければならないのが、年金と雇用保険の失業手当の同時受給ができないということです。

以前は、60代になって年金を受給しつつ、雇用保険の失業手当も受給できましたが、平成10年4月1日以降は年金の併給調整のひとつとして、同時受給ができなくなっています。

現在、60歳になってから受給できる年金は、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)のみですが、雇用保険の失業手当を受給する場合、この年金は全額支給停止になります。


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失業手当と年金の受給額を比較

どちらか片方しか受給できないのであれば、自分の生活を守るためにも少しでも受給額が多いほうを選びたいですね。

特別支給の老齢厚生年金額(報酬比例部分)は、もうすでに受給している方は、もう一度受給額をよく確認しておきましょう。
まだ60歳に達していない方は、年金事務所から送付される「ねんきん定期便」に記入されているので、確認しておきましょう。

雇用保険の失業手当(基本手当)の日額は、離職した日の直前の6ヶ月間の賃金(賞与は除く)総額÷180日の45%~80%となっています。

離職前の賃金により失業手当の受給額は変わりますが、一般に年金の受給額よりは多くなっています。
ただし、失業保険は離職理由により3ヶ月の給付制限期間があることも留意しておいてください。

定年退職の場合は制限はありませんが、自己都合退職の場合は求職の申込みをしてから約3ヶ月間は、失業手当は受け取れないことになっています。

失業手当を選ぶ場合の手続き

年金の受給額のほうが多い場合は、特に何の手続きをしなくても継続して年金が支給されます。
失業手当のほうが多いと予想される場合は、ハローワークにて失業手当の受給手続き(=求職の申込み)をしましょう。

ハローワークの第1回説明会で「雇用保険受給資格者証」を受け取ったら、年金事務所で、「雇用保険受給資格者証」と「老齢厚生年金受給権者支給停止事由該当届け」を添付して「裁定請求手続き」をすることにより、年金がストップされます。

年金は、ハローワークで失業手当の受給手続き(=求職の申込み)をした月の翌月分から失業手当の受給終了の月まで支給停止になります。また、待機期間や給付制限期間も支給停止期間に含まれるので、注意してください。

65歳以降に定年退職した場合も雇用保険適用の対象に

元気なうちは60歳以降も、また65歳以降も働きたいという方が増えています。

このような背景を踏まえ、国では高年齢者の雇用を一層推進するため、65歳以降に新たに雇用される場合も雇用保険を適用することとしました。(平成28年3月29日に成立した「雇用保険法等の一部を改正する法律案」によります。)

今までは、65歳以上で定年退職した場合の失業保険は、一時金(高齢者求職給付金)と言う形で一度だけ受け取っていました。
この一時金は雇用保険の加入期間によって異なり、6ヶ月以上1年未満の加入者は30日、1年以上の加入者は50日分が一度だけ支給されます。

平成29年1月1日以降は、雇用保険適用の対象となるため、65歳の定年退職後、ハローワークで手続きをすれば、高年齢被保険者として離職して求職活動する場合、受給要件を満たすごとに、高年齢求職者給付金が支給(年金と併給可)されます。
また、介護休業給付、教育訓練給付等についても、新たに65歳以上の場合も対象となります。

この法律の詳細は、厚生労働省のサイトで公開されています。

 ⇒ 厚生労働省 平成28年雇用保険制度の改正内容について



【参考書籍】

結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか (青春新書インテリジェンス PI 653)



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